「海水魚の中でも特に色鮮やかで美しい魚を飼いたい」とお考えの方に人気なのが、まるで水彩画のような鮮やかな色彩を持つ「マンダリンフィッシュ」。和名では「ニシキテグリ」と呼ばれる海水魚です。その優雅で愛らしい姿は、アクアリストの心を掴んで離しません。
しかし、その美しさとは裏腹に、マンダリンフィッシュは「飼育が難しい」とされる中級〜上級者向けの魚としても知られています。特に餌付けと水質管理には、特別な注意が必要です。
この記事では、マンダリンフィッシュを元気に美しく飼育する方法と、飼育難易度を乗り越えるための重要なポイントを徹底解説します。

難易度は高めですが、その美しい姿から人気の高い海水魚ですね。

カラフルで羨ましいぜー!
マンダリンフィッシュの魅力
マンダリンフィッシュの最大の魅力は、青・オレンジ・緑などの原色が織りなす宝石のような模様です。ゆっくりと胸ビレを動かし、水槽の底やライブロックの上を「散歩」するように移動する姿は、見ていて飽きることがありません。小型で温和な性格も、人気の理由の一つです。
マンダリンフィッシュは初心者にとってハードルが高い理由
マンダリンフィッシュの飼育難易度が高い主な理由は、以下の2点です。
①特殊な食性(餌の問題)
マンダリンフィッシュは主にベントス性のプランクトンフィーダーで、岩や砂の間にいる微生物(コペポーダなど)を捕食して生きています。市販の人工飼料には、なかなか餌付きません。これが、飼育難易度を大きく上げている要因です。
②水質の変化に非常に敏感
マンダリンフィッシュは水質の変化に弱く、ストレスや水質の悪化で白点病などの病気を発症しやすい傾向があります。
マンダリンフィッシュの飼育環境を整えるポイント
マンダリンフィッシュの飼育では、「いかに自然に近い環境で、主食となる微生物を確保するか」が重要になります。
水槽サイズとろ過設備
| 項目 | 推奨環境 | 備考 |
| 水槽サイズ | 45cm以上(推奨は60cm以上) | 水量の多い方が水質が安定しやすいです。 |
| ろ過設備 | 外部式、またはオーバーフロー式 | 水質の維持と急変を防ぐため、能力の高いフィルターを選びましょう。 |
| 水流 | 穏やかに | 泳ぎが得意ではないため、水流は弱めに設定してください。 |
| 水温 | 25℃前後 | 急激な水温変化を防ぐため、ヒーターとクーラーは必須です。 |
レイアウトと底床材(ライブロックとサンゴ砂)
マンダリンフィッシュは底棲魚であり、ライブロックの隙間やサンゴ砂の上を徘徊します。
- 底床:サンゴ砂を敷くことで、バクテリアの住処となり、水質浄化作用を高めます。
- ライブロック:必ず投入しましょう。ライブロックに付着したコペポーダなどの微生物が、初期の主な食料源になります。隠れ家にもなります。
マンダリンフィッシュの餌付け方法
人工飼料を食べない個体が多いため、生き餌・冷凍餌の供給が必須になります。
活き餌・冷凍餌の給餌
マンダリンフィッシュは口が小さいため、餌も小さなものを選ぶ必要があります。
| 推奨の餌 | 特徴 |
| コペポーダ(活き餌・冷凍) | 最も理想的な主食。ネットなどで購入可能です。 |
| 冷凍ブラインシュリンプ | 生餌で餌付かない場合の次の選択肢。 |
| 冷凍アカムシ | 淡水魚用ですが、食べる場合があるようです。細かく砕いて与えましょう。 |
給餌のコツはスポイトの活用
他の魚に餌を横取りされないよう、マンダリンフィッシュがよくいるライブロックの近くに、スポイトを使って直接吹きかけるようにして餌を与えましょう。
リーフタンクでの飼育が理想
可能であれば、サンゴを飼育するリーフタンクや、微生物を繁殖させるを併設した水槽で飼育するのが最も理想的です。微生物が絶えず供給される環境であれば、自然と餌に困ることが少なくなります。
混泳と注意点
マンダリンフィッシュが特定の魚に害を与えることはありませんが、混泳には注意点もあります。また、人工飼料を食べない個体がほとんどであるため、餌の量にも気を配らなくてはなりません。
混泳相手は「おっとり」系で
マンダリンフィッシュ自体は温和ですが、餌の取り合いに負けて痩せてしまう危険性があります。
- OKな相手:カクレクマノミ・マンジュウイシモチ・共生ハゼなど、おっとりした性質の魚、または待ち伏せ型のハゼ類。
- NGな相手:スズメダイなど、動きが素早く餌取りが上手な魚。彼らが餌を独占してしまい、マンダリンフィッシュが餓死する可能性があります。
- 同種・近縁種:基本的にオス同士の縄張り争いが激しいため、1水槽に1匹が原則です。ペアでの飼育は可能ですが、慎重に様子を見ましょう。
痩せサインを見逃さない
マンダリンフィッシュは痩せやすいです。お腹周りや、特に頭の部分が凹んで見え始めたら、餌の量が足りていないサインです。すぐに給餌量や回数を見直しましょう。
まとめ|マンダリンフィッシュの飼育は挑戦の価値あり!
マンダリンフィッシュは、確かに飼育難易度が高い海水魚です。しかし、適切な環境(特にライブロックとサンゴ砂)を用意し、彼らの特殊な食性に合わせてコペポーダなどの活き餌・冷凍餌を確実に与えることができれば、長期飼育もできるでしょう。
難易度が高いからこそ、飼育が成功したときの喜びは格別です。ぜひこの記事を参考に、水槽の宝石マンダリンフィッシュの飼育に挑戦してみてください!


