【図鑑と選び方】クマノミ全種類を徹底解説!失敗しない選び方ガイド

【図鑑と選び方】クマノミ全種類を徹底解説!失敗しない選び方ガイド 海水魚

カクレクマノミや色鮮やかなクマノミの仲間は、マリンアクアリウムでも人気の海水魚です。「ニモ」でおなじみの姿に憧れて、海水魚飼育を始める方も多いのではないでしょうか。

しかし、「カクレクマノミ」と一口に言っても、実は非常に多くの種類や品種が存在します。種類によって飼育のしやすさや他の魚との相性が大きく変わってくるため、慎重に選びたいものですよね。

この記事では、基本種から人気の改良品種、そしてカクレクマノミ以外のクマノミ属まで、それぞれの特徴や飼育の注意点を徹底的に解説します。ぜひ、水槽を彩る一匹を見つける参考にしてください。

ジョー
ジョー

カクレクマノミってどれも同じだと思ってたけど、そんなにたくさん種類がいるのか?

シッタカ
シッタカ

最近は品種改良が進み、模様や色が違うユニークな「改良品種(モルフ)」もたくさんいるんですよ。

そもそも「カクレクマノミ」とは?

カクレクマノミは、スズメダイ科クマノミ属に分類される魚の総称です。イソギンチャクと共生することで知られています。

種類や飼育する水槽の大きさなどにもよりますが、一般的なカクレクマノミは最大で8~11cm程度に成長します。寿命は比較的長く、飼育環境が整っていれば5~10年生きることも珍しくありません。

クマノミはすべて中性(性別が未分化)の状態で生まれます。群れの中で成長するにつれてオスとして成熟しますが、この初期の性別決定については「未分化のまま成長する」など、まだ謎に包まれている部分も多く、研究者間で議論されています。最終的に、一番大きな個体が必要に応じてメスへと性転換するという特殊な性質(雌性先熟)を持っています。

「ブリード(養殖)」と「ワイルド(天然)」のメリット・デメリット

カクレクマノミは、「天然採取されたもの(ワイルド)」と「人工的に繁殖されたもの(ブリード)」が流通しています。特に初心者はブリード個体を選ぶのがおすすめです。

種類メリットデメリット
ブリード(養殖)病気に強く丈夫、水質の変化に強い。人工飼料に慣れている。模様のバリエーションが豊富。ワイルドに比べ価格が高い品種がある。
ワイルド(天然)天然ならではの模様や体色。価格が安いものもある。水質の変化に敏感で病気になりやすい。人工飼料に慣れるまで時間がかかる場合がある。

模様の変異(モルフ)はなぜ起こる?

カクレクマノミには、通常のオレンジと白の縞模様(バンド)とはかけ離れた、ユニークな模様を持つ品種が多数存在します。これは、自然界や養殖環境で起こる遺伝子の突然変異が原因です。

通常、クマノミのバンドは成長過程で一定の形に落ち着きます。しかし、稀にバンドの幅が広くなったり不規則に途切れたり、黒い色素が増えたりするような変異を持った個体が生まれます

ブリーダー(繁殖家)は、これらの珍しい模様の個体を見つけ出し、意図的に交配を繰り返します(選別交配)。そうすることで、模様の異常を固定化・強化し、スノーフレークやプラチナ、ライトニングといった新しい品種(モルフ)として確立させているのです。

つまり、現在の多様なカクレクマノミの品種は、ブリーダーの技術と、クマノミが持つ遺伝的多様性の賜物と言えます。

カクレクマノミ基本は2種類

カクレクマノミは、海水魚飼育で最も広く流通している種類です。基本となるのは「カクレクマノミ」と「ペルクラクラウンフィッシュ」の2種で、どちらも温和で飼育が容易ですがよく見るといくつかの違いがあります。

品種名特徴飼育難易度
① カクレクマノミ(Common Clownfish / Ocellaris)3本の白いバンドが特徴的で、体色は鮮やかなオレンジ色。最も飼育しやすく安価で、初心者におすすめ。非常に容易
② ペルクラクラウンフィッシュ(Percula Clownfish)バンドの黒縁が太く濃いのが特徴。カクレクマノミと非常に似ているが別種。容易

カクレクマノミでは、ブラックオセラリスやプラチナなど品種改良が盛んに進み、人気を博しています。一方、ペルクラは現在は天然物がほとんどで、品種改良はしやすいものの、カクレクマノミほどのモルフ(模様変異種)はまだ市場に確立されていません。

しかし、どちらも海水魚の中では餌付けがしやすく非常に丈夫で、初心者の方でも安心して飼育できる点では共通しています。

① カクレクマノミ(Common Clownfish / Ocellaris)

映画「ファインディング・ニモ」のモデルとしても知られ、最もポピュラーな種類です。クマノミ属の中では分布が比較的広く、北は日本の奄美大島から南はオーストラリア北部まで、西部太平洋に広く生息しています。

体色は鮮やかなオレンジ色で、3本の白いバンド(縞模様)が特徴的です。オレンジ色の濃さは採取された環境によって異なり、深場から採取された個体ほど色が鮮やかな傾向があります。養殖(ブリード)個体が安定して供給されているため、ノーマル個体は1,000円前後と比較的安価です。

バンドの縁には細い黒い縁取りがありますが、ペルクラと比較すると目立ちません。非常に丈夫で環境への適応力が高く、人工飼料にも慣れやすいため、海水魚飼育が初めての方に最も推奨されます。

② ペルクラクラウンフィッシュ(Percula Clownfish)

カクレクマノミと非常に似ていますが、白いバンドの縁取りが太く濃い黒色になるのが特徴です。また、一般的にペルクラの方が体色がより鮮やかで、顔つきも丸みを帯びていると言われます。

目つきが鋭い顔つきをしている傾向があり、その顔つきが示すようにカクレクマノミと比較して気が強く、両種を混泳させた場合はペルクラの方が優位に立つ可能性が高いです。

生息域はカクレクマノミとは対照的に狭く、ニューギニア・ソロモン諸島・バヌアツ・グレートバリアリーフなどに限定されます。特にニューギニア付近がカクレクマノミとの生息域の境界線です。

入荷が不安定なため、一般的な価格はカクレクマノミよりも高い3,000円~4,000円ほどです。価格はカクレクマノミよりもやや高価になりますが、そのはっきりとしたコントラストから根強い人気があります。

カクレクマノミのユニークな改良品種(ブリードモルフ)

カクレクマノミの改良品種は、バンドの乱れや色の変化といった遺伝子の突然変異を固定したもので、一つとして同じ模様はありません。いずれもブリード個体であるため飼育は比較的簡単ですが、その希少性によって価格は大きく異なります。

ブラックオセラリス

ノーマルなカクレクマノミの突然変異から生まれた、体全体がシックな黒色になる品種です。幼魚期はオレンジ色をしていますが、成長するにつれてオレンジ色が抜け、黒一色へと変化します。白いバンドのコントラストが際立ち、モダンな水槽レイアウトに非常に人気です。価格帯は中~高程度です。

スノーフレーク(Snowflake)

白いバンドの形状が大きく不規則に乱れ、まるで雪の結晶が散ったような模様に見えることから名付けられました。白い部分が不規則に広がるほど価値が高く、「スノーフレーク」の名にふさわしい個体は非常に人気があります。価格帯は中~高程度です。

プラチナ(Platinum)

白い変異が最も強く出た究極のモルフの一つです。体色のほとんどが白一色になり、わずかに残るオレンジや黒色がアクセントとなります。その希少性と純粋な美しさから、カクレクマノミのモルフの中でも最高級の一つとして扱われ、非常に高価です。

ピカソ(Picasso)

白いバンドが不規則に肥大化したり、途中で分断・結合したりと、固定されていない抽象的な模様を示す品種です。その予測不能で芸術的な模様が、画家パブロ・ピカソの作風を連想させることから命名されました。模様の入り方によっては、比較的価格を抑えた個体も見つかります。

ダヴィンチ(DaVinci)

ピカソクラウンフィッシュの血統から生まれた、バンドが不規則に広がるイレギュラーバンド個体です。ピカソの特徴であるはずの十字模様が崩れたように広がり、頭部から尾部まで太い白い帯(ワイドバンド)でつながっているように見える個体が多いことから、「ダヴィンチ」という名前が付けられました。一匹ずつ柄が異なる個性派のクマノミであることから人気があります。

ライトニング(Lightning)

白いバンドが細かく、複雑に稲妻(ライトニング)のように枝分かれして広が、非常に珍しく希少価値の高い品種です。この模様の出現率は極めて低く繁殖難易度も高いため、最も高価なカクレクマノミの一つとして熱心なマニアに求められています。

フロストバイト(Frostbite)

スノーフレークの変異をさらに強化した品種で、白い模様が顔周りやエラの部分にまで大きく広がるのが特徴です。まるで霜焼け(フロストバイト)のように白が侵食しているような見た目から名付けられ、その際立った美しさで近年人気を集めています。

カクレクマノミ以外の人気種と混泳の注意点

カクレクマノミ以外のクマノミ属には、それぞれ特有の色や性格を持った種類がいます。これらの種は「カクレクマノミと比べて気が強い」「大型になる」など、種類ごとの特性を理解して飼育することが大切です。

クマノミ

日本の本州南部(紀伊半島など)でも採取される、日本の固有種に近いクマノミです。濃い体色と白いバンドの形状に個体差が見られます。カクレクマノミと並んで比較的丈夫で飼いやすい種です。

ハナビラクマノミ(Pink Skunk Clownfish)

体色は美しいピンク色で、背中に一本の白いライン(スカンクライン)が走っているのが特徴です。カクレクマノミと同様に温和な性格をしており、気が荒いクマノミが多い中で混泳の難易度が低いことから初心者にもおすすめです。

セジロクマノミ(Skunk Clownfish)

体はオレンジ色で、背中の白い一本線(スカンクライン)が特徴です。ハナビラクマノミと似た温和な性格ですが、ハナビラよりも全体的に色が濃く、オレンジ色が強い傾向があります。

トウアカクマノミ(Tomato Clownfish)

全体が赤褐色で白いバンドが少ない、あるいはほとんど目立たないのが特徴です。成長すると体色が濃い赤や茶色になります。

クマノミ属の中でも特に気が強く縄張り意識が非常に高いため、水槽内に導入する際は注意が必要です。混泳させる魚を選ぶ必要があり、穏やかな魚との組み合わせは避けた方が無難でしょう。

ハマクマノミ(Saddleback Clownfish)

濃い茶色や黒っぽい体色に鞍(サドル)のような白い模様が背中に入っているのが特徴です。トウアカクマノミと同様に縄張り意識が強い性質を持っています。成長すると体が大きくなるため、小型水槽での混泳は難しい場合があります。

スパインチークアネモネフィッシュ

クマノミの仲間で最も大型に成長する種の一つです。名前の通り、顔の横(頬)にトゲ(スパイン)があるのが特徴です。

成長すると非常に大きくなる上に極めて攻撃的な性格を持つため、他の魚やサンゴを傷つける可能性があります。混泳は非常に難しく、基本的に単独飼育が推奨される、上級者向けのクマノミです。

初心者が失敗しないためのクマノミ選び3つのポイント

ここからは、憧れのクマノミを水槽に迎える前に、必ず確認すべき3つのポイントをご紹介します。

丈夫さ重視なら「ブリード個体」を選ぼう

初めてクマノミを飼育する方は「ブリード(養殖)個体」を強くおすすめします。

ブリード個体は、人工環境で育っているため水質や環境の変化に強く、ワイルド個体よりも病気にかかりにくい傾向があります。また、最初から人工飼料に慣れているため、餌付けに失敗するリスクが少ないことも大きなメリットです。

健康な個体を店頭で見分けよう

生体を迎える際は、時間をかけて健康状態を観察しましょう。主なチェックポイントは、以下の通りです。

  • ヒレの状態:ヒレが閉じている、または欠けている場合は、病気やストレスを抱えている可能性がある
  • 体の色:色褪せている、一部だけ白っぽくなっているなど、不自然な体色変化がないか
  • 食欲:ショップで「人工飼料を活発に食べているか」聞いてみる
  • 呼吸:口やエラの動きが速い場合は、体調不良や酸素不足の可能性が高い
  • 体に白い点がないか:白点病など寄生虫の兆候がないか確認する

ペアでの購入にはサイズ差に注目しよう

クマノミは「群れの中で最も大きい個体がメスになる」という性質があります。ペアで飼育したい場合は、大小2匹のサイズ差がある個体を選ぶのが理想的です。

小さい方がオス、大きい方がメスへと性別が分かれ、スムーズにペアになる可能性が高まります。サイズが同じ個体の場合、どちらがオス・メスになるかが決まらず、激しくケンカをしてしまうリスクがあるため注意が必要です。

まとめ

カクレクマノミの飼育は、適切な種類を選び、必要な機材を揃えれば、初心者でも十分に楽しめます。まずは水槽のサイズを決め、温和なブリード個体から始めるのがおすすめです。

クマノミの仲間にはさまざまな種類がいます。選ぶ際は飼育難易度だけでなく、水槽で実現したいレイアウトや他の魚との相性も含めて総合的に判断しましょう。特に混泳を考えている場合は、トウアカやハマクマノミといった気の強い種類は避けた方が無難です。

カクレクマノミに限らず、飼育を考えているお魚の性格や特徴をよく調べ、ライフスタイルや目標に合った1匹を見つけてください。

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